EDの衝撃波治療と自分でできる器質性ED・血管性EDの改善方法

血管性EDは勃起不全の7割を占める原因

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男性がED(勃起不全)になる原因は複数考えられますが、そのおよそ7割は「血管性ED」だとされています。

血管性EDとは、その名の通り血管に何らかの問題があり、陰茎海綿体に十分な血液が流れ込まなくなることで勃起が妨げられている状態です。

そしてその多くは、動脈硬化が原因となっています。

動脈硬化とは、血管の壁が硬くなり弾力性を失っている、あるいは血管の内側にコレステロールがこびりついて血管内が狭くなることで、血液がスムーズに流れなくなっている状態のことです。

動脈硬化になり血流が悪くなると、勃起するために必要な血液が陰茎海綿体に行き届かなくなるため、血管性EDとなり得るわけです。

動脈硬化になるリスクは、生活習慣病やメタボリックシンドロームを抱えている人ほど高くなります。

カロリーや脂質が多すぎる食事、不規則な生活や運動不足が続くことで、脂肪のかたまりであるコレステロールが血管壁に付着しやすくなり、動脈硬化の原因となります。

そのため、血管性EDを改善するためには、食事や運動などの生活習慣から見直していくことが必要です。

血管性EDを改善する食事

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食事面で気をつけることは、血行を良くする効果のある栄養素を含む食品を積極的に食事に取り入れることです。

血行を良くする効果のある栄養素は、青魚・海藻類・大豆食品などが挙げられます。

青魚のEPA

サバやイワシ、サンマなどの青魚に多く含まれるEPAには、血液をさらさらにし血栓をできにくくする、血管年齢を若返らせる、中性脂肪の値を下げるといった効果があります。

近年はサプリメントや医薬品にも配合され、血管系のみならず脳機能への効果も注目される栄養素です。

週に2回、EPAを多く含む青魚を摂取すると動脈硬化や心疾患になるリスクが下がるので、意識して食事に取り入れてみてください。

海藻類に多く含まれる水溶性食物繊維

野菜や果物、海藻類に多く含まれる食物繊維も、動脈硬化予防のために積極的に取り入れたい栄養素のひとつです。

食物繊維は、水に溶けやすい水溶性食物繊維と溶けにくい不溶性食物繊維の大きく2種類に分けられます。

その中でも、動脈硬化の予防と改善に効果があるのは、水溶性食物繊維です。

水溶性食物繊維には、血液中のコレステロール値の上昇を抑え、過剰なナトリウムを排出するはたらきがあるため、動脈硬化だけでなく高血圧の予防にも期待できます。

特に、わかめやひじきなどの海藻類に豊富に含まれるアルギン酸という水溶性食物繊維には、体内の過剰なコレステロールを吸着し排出を促す作用があります。

大豆食品に含まれるイソフラボン

大豆に含まれるイソフラボンやリノレン酸も、血液の状態を改善する効果が高い成分です。

大豆は総合的にみても栄養価の高い食品なので、積極的に摂取しましょう。

煮豆や味噌汁、サラダなど様々な調理方法があり、食事に取り入れやすい食品です。

スクワットで骨盤底筋群を鍛える

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運動によっても血流を改善することができます。

血管性EDを解消したい方におすすめなのは下半身を使う運動、特にスクワットが効果的です。

スクワットは特別な準備が必要なくどこでも手軽に始められる点と、勃起するために必要不可欠な骨盤底筋群という筋肉を重点的に鍛えることができる点で、一石二鳥の効果が期待できるからです。

勃起している時、骨盤底筋群がペニスの根元を締め付け、陰茎海綿体に流れ込んだ血液を逆流させないように溜め込むことで、勃起の状態をキープすることができます。

つまり、骨盤底筋群を鍛えれば勃起の機能が向上するというわけです。

骨盤底筋群は、骨盤周りや太ももの筋肉と密接につながっているため、トレーニングにはスクワットが効率的です。
 
スクワットを行う際の注意点は、素早く動くのではなくゆっくりと腰を上げ下ろしすることです。

ゆっくりと動いた方が、怪我を防ぐだけではなく、筋肉により大きな負荷をかけることができるため効率的です。

特に、ダンベルなどの器具を使わずに行う場合は、動作が早くならないよう気をつけてください。

目安としては、4秒かけて腰を下ろし、また4秒かけて立ち上がるくらいのスピードで行ってください。

この方法なら、ダンベルなどを持つことが難しい高齢の方にも負担が少なく続けることができるためおすすめです。

ED治療を受ける

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食生活の改善や運動によってEDの解消につながるだけでなく、動脈硬化の予防になるという点でより健康な体に近づくことができます。

より根本からEDの問題にアプローチしたいという方は、それらと同時にED治療を受けることをおすすめします。

バイアグラなどのED治療薬は、服用することですぐに勃起力が回復しますが、それはあくまで薬の作用が切れるまでの一時的な効果です。

EDの根本治療を目指す方には、血流改善治療である衝撃波治療がおすすめです。

この治療では、患部周辺に低周波の衝撃波を与えることで血管を再生し、再び自然なかたちで勃起ができるようになります。

持病などがありED治療薬を服用できない方でも治療を受けることができ、副作用もありません。
 




 
 

医師も驚いた“衝撃波”の威力とは?

血流の塊とも称される男性の陰茎が勃たなくなる病気、ED。治療には薬物療法や手術があるが、自然な形で元に戻る根本治療はなかった。そこに画期的な勃起不全衝撃波治療(ED1000)が登場した。治療は大きく変わるのか。

男性の生殖活動とともに性生活を楽しむのに欠かせない陰茎(ペニス)が勃たなくなる病気がEDだ。男性の生活の質(QOL)を落とすうえ、パートナーにとっても重大な問題となる。原因は、緊張やストレスによる心因性の場合もあるが、多くは加齢とともに起こる血管の動脈硬化による。

わが国のED患者は推定1130万人。1998年に日本人男性289人を対象にした疫学調査によると、40代は20%、50代は40%、60代は60%、70代は70%超の人が中等度ないし完全なEDだった。高齢者の増加にともない、今後さらに患者が増えると予測される。人知れず悩んでいる人も多いのではないだろうか。

そもそも勃起は、性的刺激を受けると脳が感知し、神経を通じて陰茎に伝わっって起こる。具体的に説明すると、陰茎の上側左右にはスポンジ状の海綿体があり、興奮が海綿体の神経に届くと一酸化窒素が発生、血管拡張物質が増えて血管が広がり、血液が陰茎に流れ込む。同時に、静脈が閉鎖し陰茎に血液が充満して勃起する。このように、勃起は血流と大きく関係する。

治療の第一選択は薬物療法だが、勃起を必要とする前に服用しなければならず、あくまで一時的に改善するもので、根本的な治療ではない。そこに出現した新たな治療が勃起不全衝撃波治療(ED1000)だ。

ED1000とは、陰茎に直接衝撃波を照射することで血管機能を高めるものだ。千葉西総合病院泌尿器科部長の久末伸一医師は、こう説明する。

「衝撃波を陰茎に当てると、新しい血管が形成され、海綿体で一酸化窒素が分泌されて血管が広がり、陰茎の血流が通常に戻ります。それにより血管の障害によって起きていた勃起障害が改善するという仕組みです」

具体的な方法は、プローブというスティックで陰茎5カ所に15~20分照射し3千発の衝撃波を当てる。週2回、3週続けた後、3週休み、同じ治療をさらに3週、計12回おこなう。2011年、帝京大学医学部で挿入ができない50代以上の患者を対象に臨床試験をおこない、27人中18人に改善が見られ、そのうち15人は性行為が可能になった。当時帝京大に在籍していた久末医師も、試験に関わっていた一人だ。

効果は期待できそうだが、衝撃波とは少々怪しいし、何より痛そうだ。

「この衝撃波は、もともと尿管結石を粉砕したり、狭心症で手術ができない全身状態の悪い人の血流を新たに生じさせたりするのに使っていたものです。EDに対しては、結石を粉砕する5分の1程度のパワーに落としますので、痛みはほぼありません」(久末医師)

これまで久末医師は300例以上治療をしてきているが、まだ副作用は見られていないという。

東京都在住の田所和雄さん(仮名・70歳)は、EDに悩み精神科を受診していた。妻とセックスができなくなり、自信を失っていたうえ、アクティブで外出がちな奥さんが浮気をしているのではないかと思い込み、喧嘩が絶えなくなっていた。

13年、久末医師の元を訪れ、ED1000の治療を受けることに。田所さんにはよく効き、照射を1回受けた翌日から朝勃ちし、その後12回の治療を経て、完全に勃起するようになった。

「初診でいらしたときは、失礼ながらお年を召されたご老人という印象でしたが、1カ月後、経過観察でいらした田所さんはダンガリーシャツにスカーフを巻いて、見た目もかなり若返っていました」(同)

当初、久末医師は、結石で使っていた治療法がEDに効くことに懐疑的だったというが、

「田所さん以外にも、それまで暗かった人が、次の外来で『先生、朝勃ちがすごいです』と明るくなって訪れる顔を見て、疑念が少しずつ晴れていきました」

だが、全く効かないケースも3割程度あるという。その要因は加齢と合併症だ。

「私が治療したうち約60人のデータで効果の有無の予測因子を検討したところ、年齢を65歳未満とそれ以上に分けると、明らかに若いほうが効きました。もう一つは合併症の数。高血圧、脳梗塞、心筋梗塞、糖尿病、高脂血症のうち三つ以上重なると効き目が悪いです」(同)

ED1000は保険適用外で、自費で40万円ほどかかる高額な治療。そのため、患者に予測因子を説明し、治療を受けるか決めてもらうという。現在、広島大学が唯一、臨床研究として実施しているが、そのほかでこの治療を実施するのは、泌尿器系、美容系などのクリニックのみだ。久末医師自身も千葉西総合病院ではおこなわず、OASISメディカルクリニック原宿(東京都渋谷区)で2週間に1度実施している。

ED治療の歴史を振り返ると、1999年、バイアグラの登場で治療が画期的に変化し、その後、レビトラ(2004年)、シアリス(07年)も発売され、これらの3種類の薬による治療が第一選択だ。それぞれ効果が出るまでの時間や持続時間が異なるが、いずれもセックスのために勃起が必要なとき、事前に服用する。

効き目が悪い場合には、ICIという自己注射で治療をすることもある。最終的には、プロステーシスというシリコーン製の支えを埋め込む手術という方法もあるが、現時点では手術まで受ける人は少ない。そこに新しい選択肢として登場したのがED1000だ。

この治療の評価はいかがなものなのだろうか。日本性機能学会名誉理事長で、ED研究の草分け的存在である博慈会記念総合病院泌尿器科顧問の白井將文医師はこう話す。

「ED1000は、薬物療法が効かない場合のオプション治療の一つとしては検討できるでしょう。根治が望める可能性があるのは事実ですが、治療費が高額ですし、あくまでも研究的治療であることを患者さんは十分認識してください。泌尿器科の専門医のもとできちんと説明を受け、慎重に検討したうえで治療を受けるべきです」

白井医師は、EDは勃起機能の回復と性生活の改善のみにフォーカスされがちだが、実は、重篤な病気のシグナルであることも知っておくべきだと話す。

「EDの多くは、血流が滞って起きます。陰茎の血管は約2ミリで、心臓など他の重要臓器の血管より細い。ですから、EDは心筋梗塞や脳卒中の前触れや、すでにそういう病気が起きている目印になりうるのです」

同院では、FMD(血流依存性血管拡張能)という血管の内皮機能を腕で測る検査を実施し、陰茎をはじめ全身の動脈硬化を評価している。白井医師は言う。

「EDは恥ずかしい病気ではありません。克服すればQOLが高まりますし、怖い病気が隠れているのを発見して治療につなげられます。兆候のある人は泌尿器科を受診してください」

「性生活はもういい」と、EDを放置している人も、健康寿命を延ばすために検査をしてみては。

via:週刊朝日2017年6月30日号